肉食獣の悲しみ


ある週末、私はロンダの友の家でテレビを見ていた。
外から名を呼ばれたので出てみると、
友の父が知らないオヤジと一緒に居た。
知らないオヤジの傍らには、何匹かのウサギが入った籠が置いてあった。

か、可愛いぃ〜(はぁと)
友の父はニコニコしながら、ドレがイイ?と私に聞いた。
茶色と銀色の混じったフサフサ毛の一番愛くるしいウサギを私は選んだ。
友父はソレを買ってくれた。

私は二階の物置に走って行き 買ってもらったウサギの寝床になるような籠を探した。
ウサちゃんの名前は何にしよう???
ルンルンして(←死語)ウサギの置いてあったサロンに戻ると、
私のウサちゃんが見当たらなかった。

ん?逃げたか??必死になって探し回っていたら、
ゴツン、友父にぶつかった。
友父の手の上には、タッパにテンコ盛りな肉のぶつ切り...。

も、もはや?
ま、まさか??

一瞬にして全てを理解した。
一瞬にして凍りついた。
友父は朗らかに言った。
「ウサギの肉を食べた事ないだろう?美味しいぞぉ♪」

私は無理矢理に笑顔を作り、
「楽しみだね♪」
そう言ってトイレに駆け込んだ。

ヒドイいやヒドイ。一番可愛いのはドレ?だなんて、
そんな聞き方無いじゃんかっっ。

食用なら食用だって始めから言えっちゅうのっっっ!!!

ああ、でも、食用だって言われてたら私はドレを選んだのだろう?
一番可愛くないヤツ?
可愛くないウサギなら可哀想じゃないのか?
可愛くないウサギなら食べても平気なのか?

それにウサギに限って「可哀想」だなんて何だかヘンじゃないか?
「焼肉食いてぇ〜」なんて手紙を今日書いたばかりなのに...。
牛肉も豚肉も鶏肉も平気で食べるのに、ウサギに限って「可哀想」だなんて絶対差別だよな。

友パパは私の為にウサギを買って、
私の為にウサギを殺した。
ヒドイも残酷も無いじゃんかっっ!!!
友父がやらなかったら、他の誰かがやらなきゃイケナイ事なんだ
自分は肉を食べるクセに、
その為に動物を殺してくれる人を残酷だなんて
絶対に完全にヘンだ。

便器に座ってボロボロ涙を流しながら思った。
だいたいコノ涙だってオカシイ。
霜降り高級和牛に対する歓喜の涙とちょっと違う。
こりゃ差別だ。完璧にヘンだ。本当にオカシイ。

顔を洗って、トイレから出た。
友ママと一緒に殺したてホヤホヤのウサギの肉を料理した。
それから皆で食べた。
ニッコリ笑って美味しい♪と言った。

ウサギの肉は臭みを取るためにビールと一緒に煮込む。
だからなのかは分からないけど、
何だかホロ苦い味がした。


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