気力と体力の真剣勝負 スペイン夏の夜遊び


冬の間賑わっていた新市街のクラブが、気温の上昇と共に閑散としてきた。

そして今まで死んだようだった海岸通りが、ヤケに何だか華やかになって、
突然夏が始まった。

飛ぶ鳥がアマリの暑さに窒息して落ちてきた。
そんなニュースが流れたりするマラガ夏の夜遊びは、
しっかりシエスタ(お昼寝)をした後、夜中の12時スタートだ。

夏の夜遊びのメインは、あちらコチラで開かれる野外フェスティバルにつきる。
ロックを始め、ジャズ、フラメンコ、サルサ、ありとあらゆるジャンルの音楽や演劇、
中にはカラオケ大会だってある。

私達のお気に入りは、ローマ時代に建てられた円形劇場で開かれる野外演劇。
月明かりの中ヒンヤリと湿った石の上に腰掛けて、松明に囲まれた舞台を見る。
どうやらシェイクスピアらしい。トテツモナク幻想的だ。
しかし意味は全く分からない...。

舞台が終わったら、朝までロックフェスティバルで飛び跳ねてる時もあるし、
フラメンコで踊り廻り過ぎて気持ち悪いで死んでたり、
個性に満ち満ち溢れた星の数程もあるバー(BAR)巡りをする。

砂浜がそのままダンスフロアだったり、階段を降りるといきなりプ〜ルのお出迎えで、
皆さん水の中でガンガンに飛び跳ねてたり、中でも一番面白いのが泡のディスコだ。
難聴クラブ育成仕様のハウスの音楽に合わせて、
ダンスフロア中に得体の知れない泡(シェービングクリームか?)がワンサカ溢れ出てくるのだ。

イズレにしても午前5時を過ぎた辺りは、親友ソフィーが一番スパークする時間。
ハイスクール時代から、クラブのお立ち台でダンスクィーンのアルバイトをしていたソフィー。
更にはジュリア・ロバーツ似のソフィー。
彼女が踊り出すとフロア中の視線が、怒涛のように彼女に向かって突進していく。

すっかりご満悦、汗びっしょりになったら、明け方の海岸へと降りて行く。
潮風が火照った体に心地よい。

像の噴水から4本目の椰子の木の下では、
ルームメートのカルロスが、何時もの如く彼女を隣に侍らせギターを弾いている。
おおっと、今日は鳥肌ラブらぶソングでは無く、私達の大好きな REM なのだっっっ!!!
先客に1組のカップルが寄り添いムードを出してたけれど、
構わず乱入して合唱する。(性格悪し)

満足したらカルロス達からちょっと離れ、砂浜に手足を投げ出しゴロンと寝転ぶ。
大の字〜だ。
見上げる空は、夜と朝の境目の微妙なグラデーション。

境界線の曖昧な空と海を眺めながら、
波音の合間にカルロスの歌声を聞きながら、
しばしの休息、至福の時。

太陽が力を蓄えてきた。
あともう2時間もすれば、灼熱の地獄が始まるのだ。
夜通し遊んでヘトヘトの体に、太陽が優しくパワ〜を満たしていく。

遠くから聞こえる雄叫び。
ん?もしやアレはビートルズか???
大声で歌い(怒鳴り?)ながら、馬鹿達が走ってくる。
見るまでも無く、ありゃルカとミシェルのデコぼこコンビだ。
奴等クラブの熱気を、そのままココへ持ち込む気なのだ。

「我らは、いざ、処女なる海へっっっ!!!」
走りながら、叫びながら、ジーンズのまま海に飛び込んでいく。
あ〜あ、馬鹿の水浴び。ヤレヤレ。

他人の振りしている私達を、海の中からお馬鹿達が呼び寄せる。
無視したいのはヤマヤマだけど、
自主的に参加しないとヒドイ事になる。
先週末、疲れ果て砂浜にメリ込むように死んでいた私を、
ラグビーボールのように抱えて、乱暴に海に投げ込みやがった奴等なのだ。

地中海沿いのスーパーリゾートなこの町。
夏は下着代わりの水着着用が最低限のルールだ。



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